輪島市名誉市民・三谷吾一氏は2002年に日本芸術院会員に就任、2015年10月には文化功労者として顕彰され、長らく斯界の先達者として輪島塗を支え続けましたが、2017年7月、惜しまれつつ永眠されました。
三谷氏は22歳の独立以来、独自の表現を飽くことなく追求し、エルジー粉やパール粉を用い、多彩な技法を駆使した幻想的かつ色彩豊かな世界を切り拓きます。その作風が評価され、輪島を代表する作家として足取りを確かなものにしてもなお、作品世界は年を追うごとに若々しく、明るく自由な彩りに満ちあふれたものへと変化を重ねました。
本展覧会では、日本芸術院会員就任後の作品も交え、作品一筋に生き抜いた三谷氏の足跡を振り返ります。作品から流れるやわらかな旋律に耳を傾けていただければ幸いです。
関連事業
●石川県輪島漆芸美術館文化講座漆文化セミナー
第2回「伝統の本質を追求する―乾漆造形を通じて―」
日 時:9月29日(土)午後1時30分~午後3時
講 師:林 曉 氏(富山大学芸術文化学部教授)
第3回「文化功労者 三谷吾一氏の足跡を振り返る」
日 時:10月28日(日)午後1時30分~午後3時
講 師:三谷 慎 氏(彫刻作家)
角 康二 氏(沈金作家・日展会員)
細川英邦 氏(輪島市産業部漆器商工課漆器産業振興室次長)
*いずれも予約不要・受講無料
●石川県輪島漆芸美術館 友の会主催コンサート
「大西貴浩 美しき日本のうた」 10月7日(日)午後2時開演
●「いしかわ文化の日」特別無料開放
10月21日(日)
●輪島市民文化祭「あいの風」協賛 特別無料開放
11月3日(土・祝)~4日(日)
●文化功労者 三谷吾一氏「昇り龍」巴区町内会キリコ特別展示
2009年、三谷氏は居住する巴区町内会のキリコの装飾を手掛けました。ナカフク・ナカドリと呼ばれる行燈の表面に「瑞雲鮮」の字を書きあらわし、裏面には2頭の昇り龍、松と日の出を勇壮に描いています。三谷氏の逝去から1年、住民の手によってキリコは再び組み上げられ、2018年8月23日の重蔵神社例大祭に繰り出しました。本展覧会の開催に合わせ、エントランスホールで特別展示いたします。